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2007/04/04
なぜか上海。③
 上海人の車の運転には凄まじいものがある。
何しろ運転が乱暴で、街中からクラクションの合唱が聞こえる中国である。
 クラクションで邪魔な車や歩行者を蹴散らしながら運転しているという表現がぴったりとくる。
 ぼぉ~っとして横断歩道を渡っていると、ひかれてしまいそうである。正に慣れない日本人観光客にとっては道路横断も命がけである。

 しかしながらそんな状況になれている中国の歩行者は、実に器用に車の隙間をぬって横断している。
 正にドライバーと歩行者のみごとな阿吽の呼吸とも見えるのである。
 が、その阿吽の呼吸がうまくいかない時も少なくない。結果的に交通事故の現場を見ない日は無いと言えるほど、事故が多発する事となる。

 この交通マナー一つを見ても、現在の中国は急速な経済発展と共に利己主義が広がり、秩序の欠落が進行しているのが垣間見える。
 約2500年前の孔子・孟子の儒教から始まる道徳心はどこへ行ってしまったのであろうか。
 「中国が世界の中心!」と言う中華思想を作ったのも、この孔子の時代からだから、これまた話はややこしいのである。

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 さて、観光2日目は上海から内陸に向かって約100km、「東洋のベニス」とも言われる世界遺産の庭園群で有名な蘇州へ足を伸ばした。
 新しいまち上海と異なり、2500年以上も前からの歴史がある運河の街でもある。

 実は上海・蘇州間には鉄道があり、特別快速で約1時間、硬座がベンチシート、軟座が指定席で軟座の2倍の料金である。
 上海駅でキップを買って、いざ蘇州へ。
蘇州駅にはレンタサイクルがあり・・・
と旅行前から用意周到に調べておいたが、大混雑の上海駅で切符を買うのをあっさりと諦め、江さんのガイド付きワゴン車をもう1日チャーターする事にした。
 我ながら、初心貫徹という言葉が見事に似合わない人間と思った次第である。

 観光をした中2日間は、土・日であったため、週休2日が浸透している上海では通勤などによるラッシュも殆ど無く、すこぶる快調な移動であった。
とにかく平日のラッシュ時はひどいらしい。
 決して土・日を選んだ訳では無いが、たまたまそうなっただけである。
 変に完璧さを求めない方が、世の中良い方向に向かうのかもしれない。
と、都合良く理解する私のような者を、周りのA型人間には許せないらしいが。
 とにかく高速道路で約1時間で一気に蘇州入りであった。

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 何はともあれ、世界遺産の拙政園(せっせいえん)に行く。今から約500年前の明代の高級官僚が作った水がテーマの庭園である。
 現在も官僚汚職が見事なまでに横行している中国であるが、こんな立派な庭園を当時作る事が出来た官僚の収入源は、一体どこから来たのだろうか。

 
  中国庭園のモデルとも言われている拙政園

 兼六園のある金沢市と蘇州市は姉妹都市が結ばれている。
 この庭園の細部の説明をガイドの江さんが、詳しく説明しながら案内をしていただいたが、この際割愛をする。
と言うより殆ど覚えていないという表現がよりふさわしい。

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 拙政園を出て、運河を船で渡って虎丘(こきゅう)に向かう事にした。

 運河風景
     千と千尋の神隠しの世界である

 ダンサーズ
     街角で出くわしたオバさんダンサーズ

 運河風景2
     ゆったりと運河を船で虎丘に向かう


         UP

 虎丘は、春秋時代の小高い丘にある墓陵の事である。
詳しくは割愛する。まぁこれも殆ど覚えていないだけでの話であるが。
 丘の上に宗代の961年に建てられた八角七層の塔があり、400年前から地盤沈下のため傾き始め、現在北側に約15度傾き、中国のピサの斜塔とも言われている。

 斜塔
     煉瓦製で高さが47mもあるそうだ

 このまま傾斜が進むと倒壊の恐れがあるので、それなりに補修をしているが、いずれ倒れるかもしれない。
 千年を超える歴史的建造物が倒壊する前にぜひ蘇州観光をお薦めする。
 蘇州は上海と異なり、中国の古い歴史を残した所であり、上海からも非常に近い距離にある。
 と、その歴史をまともに覚えちゃいない者に言われたくないだろうが。
 その後、昼食を挟んで寒山寺などの名所を回った後、夕方上海に戻る。

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 さて、夕食は上海の庶民が行く人気のレストランを江さんに紹介してもらい、江さんを含め4人でレストランへ。
 大賑わいで空席を待つ人で一杯だ。
アヒルのくちばしのから揚げや鶏の足の指料理などのゲテモノ風料理も含め山のようにオーダー。流行っているだけあってどれも美味しい。
 ビールもピッチャーで注文して、いざ会計すると、何と4人で4千円ほどであった。
 こんな店をぜひ我家の近くに誰か作って欲しいと切に願うのである。

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上海と言えば上海雑技団である。
夕食後、雑技団の公演を観にいった。
 上海にはいくつかの雑技団があるようだが、とにかく上海に行ったら外せないスポットである。
 大きな劇場の最前列ど真ん中のチケットを入手し、人間離れした雑技にただただ驚く90分間である。

圧巻は何と言っても、アクロバットモーターサーカスである。
球体ゲージの中にオートバイが1台ずつ増えていく。上下左右に見事にぶつからないでクロスしながら最後は何と5台のバイクが中に入るのである。

「マジすげぇ~」「あいつらバカじゃん」と何とも寂しいボキャブラリーで叫び喜んでいた隣席のお兄ちゃんがうるさかったが、気持ちは十分に理解出来るのである。

    アクロバットモーターサーカス
       アクロバットモーターサーカス

タクシーでホテルに着いたのは午後10時近くであった。
 中2日のてんこ盛り観光は無事終了し、翌日は帰路となったのであります。

 翌日、千歳空港に着いてから、食事を取る事とになった。
本場中国料理三昧の旅を終え、三男坊に何を食べたいか聞いてみると
    それは「ラーメン」であった。

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 中国は日本からみると漢字の故郷であるが、その本場中国は簡体字という略字が多く使用されている。
 筆記上画数が多いと大変なので、簡略化した字体を使うのである。
 日本でも新字体として独自に簡略した字体は少なく無いが、例えば中国では「雲」は「云」、「車」は「」、「農」が「农」、「習」は「习」などとなる。
习」まですると、かなりの力技である。

 中国人はたとえば「雲」という字は習っていないので、読めない人が多いのである。
 漢字の故郷の中国人より、日本人のほうが理解できる漢字が少なく無いという奇妙な現象が起こるのである。
 これは、漢字を取り入れながら、カタカナ・平仮名を考案した日本人が、文章全体での使用数が減った漢字を、大きく簡略化せずに済んだ事が原因と思われる。
 
 漢字を訓読み・音読みと使い分け、カタカナ・平仮名・アルファベットの組み合わせを当たり前のように使う日本語は、山のようにある人称や敬語なども含め、世界でも無類の複雑な言語と言われている。
 
 限られた勉学へのエネルギーを、これほど面倒な母国語を覚えるために使ってしまった私など、他の言語を覚える余力は無かったとものと、納得するのである。
 と言っても、その日本語ですら結構怪しいと中国で思ったのである。
何しろガイドの江さんは教科書のような綺麗な日本語を話すのである。
 「日本語マジ、チョーやべぇ~」状態のギャルたちも、ぜひ見習っていただきたいものである。



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