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2009/12/27
気がつけば・・・B。
 気がつけば、士別市議会議員になって3年と7ヶ月が経った。
 来年4月には二期目の選挙である。
あらゆる選挙において、二期目の選挙は議員としての大きな試金石となり、その後の議員生命に大きく影響をする・・・
 と、ある大先輩議員経験者に言われた事を覚えている。
(しかしながら、こんなコラムを書いているようでは不安材料に事欠かないのである・・・)

 議員には色々な活動があり、最も市民に分かりやすいのは議会での質問である。
 気がつけば、定例議会の殆んどで質問をしてきた。
 何でもかんでも質問するつもりは無かったが、結果的にはそうなったのである。
(我ながら結構出てくるものだと今更ながら思わないでもない・・・
市長側にしてみれば、さんざん質問しておいて、そんな感想?と立腹されるかもしれないが。)

 議員として活動で次に多いのは、市民から依頼される諸問題の解決である。
 各種団体と行政との調整・パイプ役や、各種補助へのアドバイスなどは市議らしい仕事である。

他にも様々な相談が飛び込んでくる。
 結構多いのは道路関連の要望だった。
この道路を舗装してほしい、歩道に雨水が溜まるから補修してほしい、この穴ボコを車が通ると家が揺れる・・・
 他には、街路灯をなんとかして!隣の屋根の雪が落ちてきて我家の壁にあたる!道路脇の草刈りがなっていない!

 結果はどうであれ行政側に話を繋がせて頂いている。
 その多くは何らかの形で解決となっているが、失礼ながらそんな問題は町内会長が担当部局にお話した方が早いのでは?
と思う事もないではない。

 中には、大変申し訳ないが非常に困るご相談もある。
 例えば、隣町でもめていた条例案への解決策である。
 さすがにどうしようもないので、隣町の知っている市議に「何とかガンバレ!」と電話して上げるくらいである。
 更には、国政レベルの問題を相談される場合も少なくない。
当たり前ながら田舎の市議では、国の予算や法律には直接関与出来ないのである。
 そんなご相談でも「無理!」とはストレートに言わず、表面上は真摯に受け止めながらも、怒られないように何故無理かを柔らかく伝える術も必要となるのである・・・
(こう見えて?実は気の長くない私が、随分と忍耐強くなったものである)

 実は議員が、日常圧倒的に多くなるのは、冠婚葬祭を含めた交際関連である。
 議員報酬の大幅削減や日当制などが語られているが、それには市民からお声が掛かる交際関連と選挙時の費用のあり方を、市民と共にセットで解決をする事も併せて考えてあげないと、働き盛りの新人は立起しずらくなるとも言われている。
 議員は名誉職に徹して行くか、専業職に近づけるかで、報酬のあり方も大きく変わるのである。

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(ここから年末にして、非常にまじめな話で笑い無しである・・・
    その上もの凄く長いのである)

 次の選挙から、士別市議会の議員定数を22名から20名にする条例案を今月18日の定例会において全会一致で議決をした。
 市民やマスコミから「まだ多すぎる!」「説明が足りない!」と多くのご批判を頂く。
 一年生議員で、ましてや正副議長でもない私が、経緯を説明する場所も無いので、この場をお借りする。

 今から6年前の平成15年4月、わが街に隣接する和寒町・剣淵町・朝日町の3町による任意合併協議会が設立され、3か月後の7月に我が士別市が加わり、1市3町による合併協議が行なわれていた。(いわゆる平成の大合併の流れである)

 同年12月、和寒町と剣淵町が協議会から離脱し、事実上この任意合併協議会は解散となった。

 その直後、前士別市長は朝日町との1市1町の合併を事実上お願いに伺う事となる。

 当時から自主財源の乏しかった旧士別市は、平成17年3月末で終わる市町村合併特例法の期限内の合併をお願いして、特例法の効果を最大限に共に活用しようという思いがあったに違いない。
(過去のコラムにも書いたが、国がすすめた平成の大合併に同調して市町村合併を期限内に実行すると、合併前のそれぞれの交付税総額が一定期間保証されたり、有利な合併特例債を活用出来るなどの多くのメリットがあるからである)

 賛否さまざまな論議を経て、当時の朝日町と朝日町議会は、平成16年2月士別市との合併協議を進める事を合意し、同年4月法定協議会としての士別市・朝日町合併協議会が設立されたのである。

 こうして、4年前の平成17年9月、旧士別市(当時約22,000人)と旧朝日町(当時約1,800人)が合併して、新・士別市として誕生した経緯がある。
 人口差が12倍もある市・町が、編入合併ではなく新設合併を選んだのである。
 これは、先の経緯から朝日町が吸収されるイメージを払拭するために、あくまでも対等とし新設合併となったのである。

 「合併は最大の行政改革」とも言われている。
当たり前ながら首長は一人になり、各部長職なども大きく削減となる。
 職員も合併時両自治体で一般職が427人だったが、現在は60人近く減っている。
 ちょうど合併後4年で、旧朝日町の職員数が削減となった計算となり、その削減率は約15%ほどとなっている。

 合併時、旧士別市議会議員22名、旧朝日町議会議員12人で合計34人であったが、8ヶ月の在任特例期間後の、平成18年4月新・士別市の最初の市議会議員選挙が、法定上限数26人を4名下回る定数22人として行なわれたのである。
 1回限りとして選挙区を設け、旧士別市を第1選挙区として定員18名、旧朝日町を第2選挙区として定員4名とされ、私が新人市議会議員として立起したのは第1選挙区であった。

 第1選挙区が3名オーバー、第2選挙区が2名オーバーで、計22名の定員に対して、5名のオーバーの選挙戦となったのであった。

 さて、新・士別市の議員22名が決まり、更なる定数削減も含めた議会改革の論議を進めてきた。

 士別市議会は会派制となっており、6つの会派が出来上がった。
 会派とは考えの近い議員が複数集まり作られるもので、事前の説明や調整などを会派の代表者の会議でその多くを協議する制度であり、殆んどの市議会で採用されている。
 この制度の一長一短の話は今回は触れないが、私も一会派に所属する事となった。


           UP

 そんな中、更なる議員定数の削減を当初より訴えていたのは、わが会派だけであった。

 それから約3年、なんと第1選挙区の市議に4名も欠員が生じる事態となった。
 北海道議会議員への転出、士別市長への転出、ご逝去、辞任・・・理由はそれぞれであるが、結果的にそうなったのである。

 公職選挙法により、地方自治体の議員に一定以内の欠員が生じた場合は、当該選挙区において、同一の地方公共団体の他の選挙が行われるときに補欠選挙を行う事となっている。

 士別市の場合は、今年の9月の市長選挙がそれにあたり、第1選挙区4名の市議会議員補欠選挙が同時に行なわれたのである。
 補欠選挙で当選しても、来年行なわれる本選挙までの7ヶ月あまりの任期であり、すぐまた本選挙に挑む事を考えると、二の足を踏む人もいたのかもしれない。

 結果的に2名が立起され無投票当選となり、補欠枠が埋まらず、欠員2名の20名の市議会となったのである。

 さて、市議会は議員定数削減の問題で、この補欠選挙前まで、削減派は昨年から2会派増え、わが会派を含め3会派、削減反対派が3会派と分かれていたが、この補欠選挙後、削減反対派も一定の削減もやむなしと流れが変わった。

 議員定数は殆んどの議会が「全会一致の原則」を採用しており、今回の士別市議会もそうであった。

 それは、多数決にした場合、過半数を超える多数派により、政治的に都合の良い定数に変えられてはならないという考え方と、少数派の意見も尊重するという配慮からである。

 結論から言うと、次回から定数20名という事で度重なる協議の上で決着をみたのである。
 この結論に全ての会派・議員が満足している訳ではないが、全会一致となりえない削減案を強引に貫いて、合意案がまとまらなければ、結果的に定員は22名のままとなってしまうのが現実である。
 苦渋の選択の側面もあるのである。

 また、合併後選挙区を一つにした初めての選挙であり、旧士別市と旧朝日町の人口比が12:1という状況では、大幅な削減により朝日地区の議員が殆んどいなくなってしまっては困るという議員心理も働くのも事実である。
(前回の第2選挙区である朝日地区の倍以上の得票数を目指さなければならない)

 現在、わが街は、合併特例法による交付税措置や、特別職・職員・議員の削減効果を併せて、年間数億円の合併効果が生まれているが、5年前、剣淵町・和寒町との合併も視野に入れていた旧朝日町議会の議員の理解もあって、前市長の申入れを最終的に受入れて頂き、合併が実現した経緯を考えると、急激な議員定数の削減より、段階的な削減が現実的という考え方も少なく無い。

 10人でも良い!と言うご意見も伺うが、仮にそのような大幅削減をした場合、来年の選挙時の朝日合併特例期間をあと1年残した時点で、朝日地区の地域問題に当然ながら詳しく、地域を代表していた市議が、限りなくゼロになる事も考えられ、朝日地区の住民にとっては、合併とは何だったのだろう?と考えさせられるに違いない。

 そもそも地域の代表的な議員のあり方は過去のあり方で、市議は市全般にわたる行財政の諸課題に提起・提言するのが本来の仕事とも言われる場合がある。
 もちろんその通りでもあるが、各地域特有の課題に通じた議員がいる事は、決してマイナスではない。
 現在、朝日地区から選出された4名の市議は、地域の諸課題を実に活発に質問や提言をされているのである。

 現実に、平成の大合併で北海道内で合併をした市は9市あるが、議員定数はいづれも法定上限数の85〜100%と非合併市と比べ高止まりする傾向がある。
 人口差のある市町村の合併では、急激な議員削減は難しい環境にあるのが少なからず背景にあると考えられる。

 士別市は、今回で法定上限数の約77%となったが、士別市の隣町の名寄市が風連町と平成18年3月に合併し新・名寄市が誕生し、今年時を同じくして名寄市議会が、法定上限数の26名だった議員定数を6名削減し、20名とした。

 名寄市は、士別市より人口が多く、約3万人である。
 現在2万3千人弱の士別市が同数では多すぎると言うご指摘も多い。
 その背景には、旧名寄市地区と旧風連町地区の人口比が5:1の名寄市に対して、本市の場合は旧士別市地区と旧朝日町地区の人口比が12:1という状況から、先の朝日地区への考慮から激変緩和的な考え方が働いたとも言える。

 合併前、両市・町で34名いた議員が、その4年後20名となることも事実であるが、「現状の20名から削減されていないので、事実上の削減ゼロだ!」というお叱りも多い。
 また、補欠選挙も埋まらないくらいだから、来年の選挙も無投票になるに決まっており、この定数は現職議員全員当選にむけた都合主義であるとも言われる。

 議会を直接変えられるのは議員である。
市民の議会に対する今回の関心とパワーは、改革派議員を送り込む熱意にもむけるべきと考える。

 前回の新・士別市の初めての市議選が計5名オーバーによる激戦であったのである。
 自分達の代弁者を送り込む事にも、ぜひ力を注いで欲しいと思う次第である。

 日本の地方自治体は二元代表制を取っている。
 これは、首長(知事・市町村長)と議員をそれぞれ直接選挙で選ぶ。
 市の場合、市長行政側と市議会という、市民を代表する機関が二つあることを示す。
(国は一元代表制であり、国民は国会議員を選ぶ事で、議員内閣制で組閣される内閣も併せて間接的に選ぶ事となる。)

 二元代表制における議会とは、首長と対等の機関としての認識を持ち、地方自治体の運営方針を議決し、またその執行をチェックし、更には積極的な政策の提言をしながら、議会は政策形成の場所となることこそ、あるべき姿なのである。

 こういった議会の重要性が、市民の皆さんに日々感じられる活動が議員側に足りない事が、定数削減論の大きな根底にある事を、議員一人一人が重く受け止めなければならない。

 現在、士別市の議会費は一般会計の約0.7%である。
 二元代表制と言いながらも、99.3%は市長・行政側が執行する予算である。
 0.7%での議会機能を、大きく削減して行くことが、多くの市民のためになるという考え方が更に進む事が、本当に手放しで喜べる事なのか冷静に考える事も必要ではないだろうか。


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