エコロジーふとん専門ネットショップ グッスリー
2008/08/14
無駄話三話
 今や、どこの職場に行っても、一人一台のパソコンがデスクに置かれ、デスクワークと言えばパソコンとにらめっこする事となる。
 最近のパソコンの計算能力たるや、わずか10年前のものから比べると、数10倍の処理能力を持ち、複雑な計算や画像処理なども瞬時に行ってくれる。

 これで、われわれ人間も10年前に比べて、さぞ複雑な仕事をこなしているかと思えば、必ずしもそうではない。

 手書きの時代なら、書類に書き込めば良かっただけの仕事を、ワープロソフトで書式から作り、その体裁を整えるのに殆どの時間を使っているとしか思えない仕事をしている人もいる。

 これと言った新鮮味の無い事業計画でも、その内容を見た目でアピールするためには、プロジェクターでのプレゼンテーションなどが欠かせない時代となり、訳の分からない矢印だらけの関係図やフローチャートを沢山いれて、シンプルだか複雑だかさっぱり分からないものをパワーポイントで一所懸命作っている人もいる。

 肝心のプレゼンでのスピーチがお粗末すぎる上に、このさっぱり分からない絵を見せられれば、更に何にも伝わらないのである。
 レーザーポインターで一見かっこよく画面の一部を示して説明されても、私が目に付くのは、プレゼンをしている兄ちゃんの寝癖やネクタイの曲がり具合程度という事もしばしばである。

 ご丁寧にも、目の前で投影中のパワーポイント画像を、1枚1枚カラープリントして配っても頂く訳だが、殆どの場合はその直後に資源ゴミと変わるのである。

 簡潔に何をどう伝えるかという仕事術の基本の一つが、デジタル機器の普及によって無駄な時間と労力と資源と資金が使われている場合が少なくないのである。

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 小都市の市議の端くれをはじめ、少なからずの団体での役職などをさせて頂くと、ちょっと気を抜くと、文字通り書類が山積する。
 小まめな書類整理が出来ない症候群の私は、日々ただ積み重ねる訳だが、その内収拾がつかなくなる。
 致し方なく半年に一度ほど、積上げられた書類を整理するハメとなる。

 まずは「いるもの」「いらないもの」に分けるのが第1ステップであるが、7割は資源ゴミとなるのである。
 本当は9割は資源ゴミでも良いが、過去1〜2年分は取っておいた方が良いかもしれないという私らしからぬ優しさで残された資料を含めてこの程度である。

 その残された資料に目を通すかと言えば、限りなく無いのである。しかもこの残った3割の資料をそのまま放置し貯めて行くと、数年も経つと、またとんでも無い事になるのであり、仮に何かをその中から調べようとすると、もはや遺跡発掘作業に限りなく近い。

 こういった場合、私はそんな無駄な発掘作業はのっけから諦め、各団体の事務局に問い合わせをする事としている。



           UP

 そうすると各事務局は、過去の資料をいとも簡単に出してくれるのである。

 じゃあ、「資料なんて全部いらないんじゃないの?」と言う声が聞こえそうだ。
       ・・・全くである。

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 民間経済人の端くれとして市議になり、行政に関わると、地方自治体から国まで、行政機関の無駄とも思える事が、目についてくる。

 「ハンコ行政」と良く言われたが、これは住民が役所に行くと「ハンコ」第一主義で、しかもタライ廻しというのが普通であった。
 その上「先延ばし」や「前例主義」というものがある。
 押して・廻して・延ばして・新しい事はしないのである。しかも年功序列で年を重ねるだけで給料が上がっていくからたまらない。
(こういう民間企業の大半は、とっくに潰れて行ったのであるが・・・)

さすがにそんな役所ではダメだと、最近は住民第一の視線を取り入れる役所も増え、ハンコ不要の電子申請なども徐々に増えてきた。

 電子申請と言えば、この3月私の確定申告を電子申請(e-Tax)した。昨年に引き続き2回目である。
 ご存知のように、昨年まで不要だった住民基本台帳カード(住基カード)とそれを読み込むICカードリードライターを繋いだパソコンと、当然ながらネット環境があって初めて申請が可能となる。
 これはセキュリティー上の強化を狙ったものだろうが、発行数が著しく伸び悩んでいる住基カードを一気に普及させる政府の目論見とも言われている。
      (絶対そうに違いない)

 「自宅で簡単に確定申告!」を実現するために、まずは市役所に行って住基カードを作ってもらう事となった。手数料500円である。
 窓口がすいていても何と20分はかかる。
(私の申告内容なら、同じ役所内の確定申告会場に行っても10分で終わるのだが・・・)

地元で手に入りそうもないICカードリードライターをネットで注文した。
一番安いもので3千円+送料5百円である。
 全部で4千円の支出であるが、電子申請をすると所得税控除が5千円受けられるので、差引き千円得をする計算である。

 さて、いざ電子申請をしようとすると・・・
ICカードリードライターのドライバーをメーカーのサイトからダウンロードする事からはじまり、プラウザの最新Javaへの更新、アメリカ製のフリーソフトのダウンロード、電子証明書の取得、利用者識別番号の取得などなどを経て初めて申請可能となる。
 パソコンにはそれなりに慣れている私だが、所々うまくいかず2時間以上掛けてようやく申請画面にたどり着いた次第である。
(自宅で簡単に確定申告!とは大きなまやかしである!)

 入力画面に各種申請額を入力して、申請確定ボタンを押して、申請終了!
 しかしである。どうやら「電子申請の控除を受ける」というボタンをクリックし忘れたようで、5千円は戻らず。しかも誰かに貸したICカードリードライターは未だ行方不明である。
 もの凄く無駄な努力をした気分である。


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