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2004/11/14
年金改革法を斬る? 「後編」
 お待たせしました。「年金改革法を斬る? 前編」を書いてから実に約4ヶ月経ってからの後編であります。     (誰も待ってないかぁ・・・)

先の国会では、郵政民営化で殆どが費やされ、国民が最も不安を抱いている年金問題の抜本的改革には触れられる事はついに無かった。
 その間にも、先の年金改革法による厚生年金の最初の保険料引き上げが、10月から実施された。
  (国民年金は来年4月から値上げです!
            知ってたぁ?)

巨額な年金の無駄使いや運用損が、次々と明るみになっているのに、保険料の引き上げが先にありきなのである。

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もともと日本の年金制度は積立方式と言って、払った保険料は、国が将来の年金支払いのために積み立てて置く制度であった。税金も投入して積み立てる訳だから、その通りにしていれば世代による損・徳は無かったし、こんな長々としたコラムネタになる事も無かった。    (これはこれで、私的にはネタに困らなくていい?・・・・・いい訳ないかぁ。)

ところが、日本はその積立金を第二の国家予算と呼ばれる財政投融資で、道路公団などの特殊法人にどんどん貸し付けて道路や建物・非効率事業に形が変わってしまった。その特殊法人への債権の多くが、ほぼ不良債権化状態である。
で、高齢化が進み年金支払い額が増えても、財政投融資等で使ってしまって、本来もっとあるはずの積立金が無い訳である。  (ここまでは分かる?)

そこで、いつのまにか若い世代が老齢世代を支える賦課方式に変えてしまった。
基本的に積立金はあてにしないで、今入ってくる保険料で、年金受給者を支える方式だ。
(前編をマジメに読んでくれたマニアの皆さまは既にご理解の事と思いますが・・・)
だから私のような若者?ほど損をするのである!

そもそも日本の年金制度は、戦前に軍費を集めるために始り、その本来の意味とは異なる国家的思惑が発足当時からあった。
 何しろ年金制度を始めた頃は、払う人ばかりでしばらくは受給資格者がいないのだから、保険金は貯まる一方の時期が続く。 (・・・うまく考えた?)
今も軍費が、財政投融資などに変わっただけで、国民を欺く基本的発想は変わらないようだ。
(超有利な議員年金が貰える国会議員のセンセイにとって、庶民の年金など、どうでも良いのかもしれない)

さすがに年金の財政投融資運用に批判が集まると、2001年に政府は年金資金運用基金という特殊法人を作り積立金の一部35兆円を市場で運用させる事とした。
(いやぁ〜、財政投融資として特殊法人に無秩序に流入する年金積立金に歯止めをかけ、自主運用させるために新たな特殊法人作るのを考えた役人ってスゴイなぁ〜)

その年金資金運用基金は、何しろ資金運用なんてした事のない素人役人の集まりの訳で、通信教育で株式市場などを勉強しながら、資金を債権や株式で運用をした。
これって、小学生に1億円預けるから好きなことやって儲けろ!っていうのに等しい。

案の定、生き馬の目を抜く株式市場などで、素人運用者が国民の35兆円を運用した結果、2年間で約6兆円の運用損を出してしまった。
 小学生への1億円の方が、全部損しても1億円で済むから、何とも安上がりに感じてしまう。
  ・・・案外儲けるヤツがいるかもしれない。
(今、話題の郵政民営化により、郵貯・簡保の実に350兆円が将来自主運用する事になりそうだ。
          一体どうするんだろう?)

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年金の無駄使いの象徴と言えば、ここ数年来マスコミに叩かれている「グリーンピア」事業である。
時の厚生省の計画に基づき特殊法人「年金福祉事業団」(現・年金資金運用基金)が80年代から全国13箇所に1914億円を使って作った大規模リゾート施設である。

その元金と利息1594億円を合わせた何と3508億円を2022年度まで返済しなければならない。
更に施設の維持管理費、修繕費は約290億円にのぼる見込みで、合計約3800億円を年金財政から支出するハメに。
 (先の6兆円からすると大したこたぁ〜無い?)

3800億円と言えば、月額6万6千円の国民年金を575万人に支払える金額である。
(それにしても、私の10桁の電卓では計算できないのである。霞ヶ関のお役人は、いったい何桁の電卓を使ってるんだろう?)
 もっと分かりやすく例えると、ビール券500円6枚計3千円分を国民1億2千6百万人全員に配れる金額である。
(我家は5人家族で合計30枚1万5千円分となる。そっちの方が良かった!
        ・・・何て問題では無い!)





           UP

 調べてみると北海道にも「グリーンピア大沼」っていう温泉リゾートが、函館の近くの大沼国定公園内の景勝大沼の全く見えない山の中に今でもある。
(我家からは400km以上あって、利用した事は無いが、これからも利用する事は無いに違いない。
    って言うよりその内無くなる?)

ホームページを覗いてみると、今月は1泊2食6千円からのコースがあり、年金を使っての民業圧迫ではないか!
 このグリーンピア大沼だけでも累積赤字は2億円を超えていて、6千円で一体何人泊めて元取るつもりをしているんだろうか?
   (何なら私の電卓貸してあげようか?)
しかも、国民年金・厚生年金を使って作ったのに、その加入者の施設かと思いきや、誰でも利用でき、金額に差も無い。

このグリーンピア、殆どが交通の不便な場所にあり、多額の累積赤字を抱えて閉鎖される施設が相次いでる。国は2005年度までに施設を売却し、事業から撤退する方針を決め、現在建設費の10分の1から20分の1の金額でタタキ売りをしている。
(建設資金を少しでも回収する所か、累積債務も結局、年金掛金から穴埋めされる)

民間にもできるリゾート開発に年金資金をつぎ込み、あげくに失敗した厚生省や事業団の責任は重いし、その予算を通していた国会議員のセンセイ方も一体何をしていたのか?
 それでも、だ〜れも責任を取らず、年金福祉事業団などの特殊法人は、官僚の天下り先として、信じられない高給と退職金を手にしてきたし、センセイ方は年金丸抱えで地元に大投資が行われるのだから、関連業者も含め、ラヴコールを送っていた訳である。
(他の国なら、暴動が起きても不思議は無い。若かりし頃大学紛争で燃えた団塊の世代は、年金受給者まであと約10年。久々に怒らない?)

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さて、社会保険庁の年金の無駄使いがその後どんどん明るみになってきた。

事務費という名目で、年金の掛金があらゆる物に使われきた。
  ・高級公用車の購入
  ・職員のリクレーション費用への支出
      野球やボーリング大会、プロ野球・観劇
  ・リクリエーション施設の建設
  ・マッサージ機、ゴルフ練習クラブ、ボール購入
      ・・・・などなど全部年金の掛金である。

極めつけは、本来社会保険庁が自分で作る冊子を、業者に競争入札無しに通常の3倍の単価で発注し、丸投げしておいて、逆に業者から監修料を受取るという手口である。   
 (訳分かんないプリンター購入も含めて、役人って色々考えるよなぁ〜   関心!?)  

監修料は過去5年間だけで約6億7千万円、各課に集まるこの監修料は、ほぼ全額を経理課予算班に現金で上納して、各課の職員数に応じて再分配。分配額は職員1人あたり年間何と20万円!
 本来年金の支給に回されるお金が業者と職員で山分けしていた事になる。
(悪い事しているのは上層部で、一般の職員は世間の批判に耐えながら、最前線で働いている!と思っていたが・・・・・撤回します!!)


さすがにバツの悪くなった社会保険庁が少し反省して職員用マッサージ機の予算要求をしない事を決めたそうである。

「健康管理器具経費」と言って、毎年各事務局・事務所に一律5万円、全部で1,560万円を計上していたのを次年度予算から要求しないそうである。

そんなんで、国民が納得すると思っているのかぁ!
(っていうかぁ、職務時間中にマッサージをしていたのだろうか?堂々と予算を付けていたんだから、そうに違いない。ウチにも1台廻してくれない?)

解体的出直しが叫ばれている社会保険庁であるが、私にすれば”不要論”に賛成である。
保険料を集めるのであれば、税金を集める事に鬼のように頑張る”税務署”に併せてお願いすれば、徴収率アップは”間違いない!”

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将来、年金や福祉、国・地方の財政の再建も含めて考えると、消費税などの大幅増税は避けて通れないものと国民の大半は考えている。

それには、徹底した無駄使いの排除のもと、これだけ負担すれば20年、30年は大丈夫という明確な青写真があっての話である。

基礎年金の税方式も含め、抜本的に改革をしなければ、今までの小手先のその場しのぎと先送りが限界にきているのは皆分かっている。


”厚生”を辞書で引いてみた。
「人々の生活を豊かにする事」とある。
この国の現在の厚生制度は、一部の役人を豊かにしているかのように思えてならない。


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